2013年03月14日

花鳥風月の乱 後編

■【観戦】:狐

繋いだ手は其の儘に、傍らに白兎の少女を伴って
黒狐は何時ぞや深緑の使役者より伝えられた場所へと赴いた

「…あぁ、結界、か…」

自分だけなら良いが、兎に怪我をさせたくは無い
あまり近付くのも危険かと、離れた位置で立ち止まるも
遠目に薄っすらとした違和感を感じ、そう呟く

「オペラグラス要らなそうだぜ?」

其れならば安全だろうし、もう少し近付けそうだ、と
歩みを進めながら傍らの兎へと告げれば愉しげにそう続け
ゆっくりと、ぶつかり合う彩へと視線を移す

其の中でも特に目を引いたのは、
蔦を絡ませ巨虎を駆る長身の

其れは、短い付き合いの自分にしてみれば
常からは如何にも想像のつかない意外な一面

■【観戦】:C

手を引かれるままに、黒狐の青年に付いて来て、
兎もまた、その戦地に立っていた。

「オペラグラス要らなそうだぜ?」
「でも、早過ぎて目が追い付きませんわ…」

距離とは違う障害に、気楽な様子の狐とは違い、必死な様子の兎。

その見詰める先、結界内には、夏山の当主、そして天狼。
闘技場のベンチで、国の内外で、幾度と無くその戦いを見届けてきた二人。
紅の花弁と、青の羽根。
見る者の目を惹き、その心を鮮やかに染め上げ去って往く旅人達。

皆、それぞれに大切な。

(…お怪我、あまりなさらなければ良いのですけれど)

狐の手を握る力が少し強まったのは、無意識の事だった。


..
■【双花】@千歳

「朔風、木の葉払えば、地、始めて凍る! 玄武第7宿、壁!」

伏した虎にあわせて、娘を守るように青年も身をかがめる。
一呼吸を挟んで、娘の術が展開される。

「天地、閉塞すれば冬と成り、金盞、開き咲き香る! 玄武第3宿、女!」

氷と水の守護は、規模を最小限におしとどめる事によって、密度を上げたように感じた。
二重の冷気の向こう側で轟々と鳴く風が、しかし確かに削り取ろうと容赦なく手を振り上げた。
「・・・東征!!」
結界からの魔力供給と、当主からの魔力供給。
一瞬でも間があかない隙を狙って、意識を娘の槍から魂に潜む青匂師に向ける。

瞬間、虎の額から蔓草が生まれ、そこから一本の剣が『生』える。

青年は二本の剣を所持していた。
一本は先程、地面に落ちたままの氷雪の刃。
もう一本は、かつて失われた守るための剣。

エンド・ラ・フォルツァ。

一角の虎となった東征将軍の身体から、蔦が『生』える。
それは二人を取り囲む氷に絡みつき、全てから守り抜こうとする水の女のドレスとなり。
ただの暴力にも等しいそれに反旗する。
そして、蔦の守護が展開すると同時。
否、完成する直前に。

「剣よ!!!」

叫び声と共に左耳元の花が散る、花が咲く。
当主の身体が、虎と娘を大地に残し、大気に投げ出された。
その手には、誰も見たことが無い一本の剣。

細く長いそれは汚れ無き純白。
鍔は百合の花弁を、柄は折れることの無い百合の枝を。
鋼の刃には絡みつく百合の葉が刻まれた、当主としての揺ぎ無き信念そのもの。
そう、当主の心から『産』まれた剣。

―――Queen of lilium

暴風の包囲網に晒された当主は、しかし後方へ投げ飛ばされる事は無かった。
氷と水と蔦による守護のカルテット。
それを突破せんと叫び狂う、風の合間に出来た隙を、実体を持たぬ羽虫が『知覚』する。
浮かされる力そのままに、剣で突き、こじ開けた隙間へ風が流れて、当主の身体が真上の空へと弾き飛ばされた。

失われたものを、形として存在せぬ概念を、森羅万象を。
物質として存在する事を『許』す精霊が居た。
使役関係には無かったため、その力を行使するためには必ず代償が必要となった。


彼の名前は空蝉乃宮之井戸。
彼の魔法は全ての存在を許すこと。
その魔法の名前は、愛。


突破は叶っても、風の刃を防ぐことはヒトツとして叶わなかった。
大きく、小さく、数多に切り刻まれた体。
雲ヒトツ無い真っ青な天空にむせ返る程の金木犀が薫る。

しかし、落下地点のその先に。
「・・・、セイ、セイリオス」
この半年間、コロッセウムで健闘を共にした。
賭けられるのは金と遊興、決して命のともし火を費やして問うようなリスクもリターンも無かった。
しかし、それ以上に誰かと共にあれる喜びを、チームという名の信頼を。
肩を並べて闘うことの楽しさを教えてくれた。
此度の仕合も共に出来たらと思ったが、今となってはこの組み合わせに天啓を見た。

約束をしたね、覚えているかな。

ならば私があなたの壁になりましょう。
何時か超えにくる為の、前借だ。

「超えて、御覧なさい」
蔦の中から四つの石を取り出す。
潮騒の夜焚虫、熏衣の夜の石、白華のエストゥレヤス、そして夏山のヘキサ=マリス。
友に贈られ、あるいは好んで手にし。
永年、当主の傍らに置き続けた、夏山の寵愛と魔力を一心に受けた、四つの青。

当主の手の中で形成される。
それぞれが頂点に置かれた、拳大の小さなトライアングル。
落下する、血の軌跡を描きながら、天狼に向かって一直線に。
肉薄する刹那。

「終点」
短縮されたキーワードが、石の中に結界を生み出す。
これまで成した結界媒介のどれよりも力を持った、当主に近く、当主に愛された、四つの『切り札』を使って。

それはとても単純な結界だった。
石の中の時空が消滅する。
当主の魂を通じた先の異次元へ転移させられる。
結果は単純極まりなくとも、世界線の構造に干渉する結界は一秒と持ない。
石に蓄積されたマナが消費しつくされる。
結界が消滅する。
失われた『世界そのもの』を埋めようと、まるでゴムのようにその周囲の『世界そのもの』が引き寄せられる。
無理矢理、引っ張られた力は、その分だけの反動をもって元に戻ろうとする。
それは、つまり。

「『夏山早蝉の壊界論理』」

夏山の歴史を、千歳の歴史を。
これが、その全てを以ってして、成した『策』。

当主の身を巻き込んで、巨大な空間爆砕が起きた。

■【双天】:セイ

そう、かつて約束をした。
彼と対峙をして。その決着が有限なるモノの為につき。

届かなかった拳は、何時か叩きつけに来ると。


『超えて、御覧なさい』


目の前で小さな小さな世界が壊れた。
いわゆるただの爆発ではない、“世界”に空いた穴を埋めるそれは世界のエネルギー。

「『夏山早蝉の壊界論理』」

紫の小鬼ならば、彼女ならば、何とかしてみせただろうか。
いとも容易く空間を操る彼女ならば、この現象そのものを理解して封じられるかもしれない。
そう宿敵の顔が脳裏を過ぎたが、今在るのは自分のみ。

(アトラナートに頼んでた剣が仕上がってりゃぁ、確実な封空剣も出来たんだが……無い物強請りしてもしゃーねぇか)

傍に立つ相棒へ、梅花さん任すぞと声をかけ改めて見上げる。



―解放 天龍紋―

抜刀した刀の刀身が輝き、その刃の元、原材料たる爪の持ち主である白き天を喰らう龍の化身がその刃へ纏わって、それは一層輝きを増す。



「この型での実践はこれが初だが…やってみるか」


右手に刃を持ち、左手は手刀を象れば闘気が集中していく。

単純な威力で迎え撃つならば、自分の秘奥義たる“天覇風龍斬”だが、あれは金色童子でしかそのエネルギーに自分の体が耐えられない。

故に、今出来る自分の手段で“同じ理”で迎え撃つ。


「今、純然たる速さを以って―――空間を断つ」

狙いは爆発のある空間。
当主たる彼の身を避けてかつその空間を封じて爆砕を最小限へと止める。


―風魔症 超音速機動―


全てを裂く神龍の爪たる一撃へ、師たる鏡神より会得した刃より刃たる一撃を、自らの身をその爆砕空間へ超速へ飛び込ませその速さのまま重ね放つ。


「――封空剣<ディストレーション>ッ!!」


放つ速さは空間に存在する全ての物質を退ける。
押し明けられた無の空間は、全てを裂く刃がそこを断ち穴を開ける。

それはまるで全てを吸い込むように、爆砕を飲み込み閉じていこうとする。



「テメェごと傷つけながら来るんじゃぁねぇ。…俺が超えるテメェを、それより先に壊させるようなモンに巻き込んでくれるな頼むから」

それじゃ約束果たせねぇだろ、と飛び込んだ先で当主の身を抱えようとしてその耳へ囁いた。

■【双天】:リュク

双天嵐、と名を与えられた風の刃が、鋭いままに宙を疾っていく。
そいつはいい、空が二つもあったのなら、どこに居たって見失わないだろう。

「えっちょ、折角盗みきったと思ったらまぁたバージョンアップしてやがるのかよっ!!」

重ね合わされる技、織り成す暴力、その渦中に居ても変わらず、能天気な声。
風の奔流に攫われていく言葉を放り出して、視線ばかりは前を向いたまま。
天をも地をも切り裂いて、全てを絶たんとする暴風の刃が、氷亀と美女の姿をした守護に打ち阻まれていくのを視界の只中にする。

「……――やっぱどうにも、綺麗な女には弱いね」

軽口を止めぬままに、一歩前に踏み出した瞬間、異変が起きる。
守護の狭間から飛び出す身体、あっという間にずたずたに切り裂かれながら、落下してくるそれは、あらゆる色彩に満ちて、酷くうつくしく、そら恐ろしかった。

彼がどういう仕組みで何を為そうとしているのかは解らない、
けれど今まで対峙した、幾人もの「術師」という存在がふと脳裏を過ぎった。
力為す媒介として代償として、彼らは己の一部を差し出す。
それは髪であったり、血であったり、命であったりするけれど、
それは飽くまで一部だった。

目の前で差し出される彼の『全て』、
それと引き換えに顎を開く――それは俺の瞳に「虚」と映った。

「馬鹿め」

軽やかに、唇に乗るのはそんな感想。
最後の花火ならそりゃあ最高のモノを用意したいさ。
んでもその代わりに女の子一人残して自爆なんて、全然スマートじゃないでしょ。
――ま、そんなのが、やっぱり好きなんだよね、
男ってのはさ。

「梅花さんを任すぞ」、とすぐ横からかかる声に、軽く首をかしげて笑む。
きっと途方も無い破壊を齎すだろう力を目の前、
髪の毛の先ほども怖い気がしなかった。

こいつがなんとかする。ただの確信、

「んじゃ美味しいトコは貰ってきますね」

同時に、地を蹴り今も彼女を護る守護に肉薄する。

身を切る氷を、斬れない水を。幾重にも張り巡らされあちこち伸びてはこの身体を押し留めようとする蔓を。ひとつのこらず切り裂いて、その真ん中に残された、目の覚めるような紅色を目指す。

いつもそうだ、最後の最後に俺を待つのは、逆の色彩、夕焼けの炎の花の、あかいろ。

捕えれば刹那、千歳の馬鹿野郎の変わりに虎の顔面にめり込むような蹴りをくれて、真正面から、

「――逸らすなよ、梅花」

右腕で振り下ろす刃はフェイント、受けられたのなら左腕で娘の身を掻っ攫い、「とったどー!」するつもりの俺。

■【双花】:梅

嵐の中で飛散する水の抱擁と軋む氷壁に守られ、低身しぎゅっと拳を握り締め必死で目を開けんと頑張る。

とその時、不意に背後の気配が消えた。
一瞬の内に凍りつく心の臓。

驚愕して振り向いた頬に赤い飛沫が降りかかった。

そして炸裂する光。

「え・・・・」

双生の暴風に加えて、天から降り注ぐ爆砕。

瞬く間に水の乙女が吹き散らされ、氷壁が硝子の様な音を立てながら砕け散ってゆく。

起きている事が理解出来ないままに、無防備に晒した体に細かな傷が浴びせかけられていった。
崩壊していく水と氷の結界の中で呆然と空を見上げていた。

原型がわからないほどに削られた結界の中にいよいよ殺人的な暴風の刃が走り始める。

『――逸らすなよ、梅花』

遠くなりつつある意識の中で声が響いた。

視線を下ろすと大好きな蒼の剣士が、青の結界と蔦の壁を打ち払いながら真っ直ぐにこちらに向かってくる。
氷の刃吹き荒れる暴風の中を私よりも傷だらけになりながら。

(嗚呼・・・この人はいつも一生懸命で・・・)

そんな事を想いながら、スローモーションで身に降りかかる刃は光を映し、ただ美しかった。

掌から落ちる槍。

閉じる瞳。

けれど一閃は風に吹き荒らされる赤い髪の一束を舞い散らせたのみだった。
突進する勢いそのままに抱きかかえられ、蒼と紅はもつれ合って宙に浮いた。

いつか星屑の下で踊ったあの時の様に。

■【双花】@千歳

勝つための策を弄した。
しかしまことの愚策であることは、この場の誰よりも承知していた。

前回のように、当主が最も得手とする質量戦に持ち込まなくて正解だった。
二人分・・・否、それ以上の密度を誇る暴風は、蔦による尖塔を築いても根から断絶しただろう。
壁にするなど持っての外、吹き飛ばされるのが目に見えていた。

元より純粋な武力では分が悪い。
娘をサポートしたところで実質的な力量差は対等とは言い難かった。
奇抜な『役』を積み重ね、シンプルな『策』を成す、当主の戦術においてこの展開を覆す方法はヒトツしか思いつかなかった。

―――相打ち。

どちらか片方でも打ち消せたのなら、娘一人が残されても勝機が見えた。
魔力供給さえ途絶えなければ、その技量に差は殆ど出ないだろうと予測した。

あぁ、風が気持ち良い。
高い、高い、大空から見下ろす三人の姿。
一人は、二度目の約束を果たさんと強い決意と共に見詰めていた。
一人は、ライトな感想とは裏腹に感情の極彩に見惚れていた。
一人は、今にも泣き出しそうな茫然自失の体で見上げていた。

結果的に、なぎ払うのではなく守護を選んだ娘の直感は正しかった。
なるべく娘を遠ざけた地点で起爆し、一人は必ず巻き込み、もう一人はあわよくば余波の衝撃によるダメージを与えられないかと読んでいた。
守護の術を発動したことにより、娘の護りは堅牢になった・・・少なくとも、なぎ払っただけのパターンよりは。
元より防衛の術に秀でた治療師である当主が、どうしたら『必ず』巻き込むことが出来るのか。
その答えが、これだった。

必ず一人をリタイアさせること、必ず娘を残すこと。
それがこの『策』の狙いに他ならない。

手の中の結界を中心に、まるで風船に空気を一息で入れたような、やわらかい風圧が起きる。
地に引き寄せられていた身体が浮く。
あっという間に結界が手の中から零れ落ち、四つの青によるトライアングルが崩れた瞬間。
爆砕が始まる。

破壊された『世界』を中心として、硝子にひびが入るように、細かく小さな爆砕が広がる。
第一陣が大結界の端まで響き渡る。
その余波だけで娘を守護する術が崩落しかかっているとは、この時の当主には知る術が無い。
両腕から生やした蔦で身を護ろうとするが、小爆砕の振動に触れただけで塵と化し、役を全うしきる事は叶わない。
届く、当主の身体に。
咄嗟に身を丸めても、縦横無尽に引き裂こうと、叩き潰そうとする暴力が、この身を粉々にしようと吼え猛る。
無駄だと強く感じながらも蔦を展開し続けた。
風によって切り裂かれた傷口を抉られ、腕や足を捻じ曲げようとする力により骨にヒビが入り、爆竹のような小さな衝撃は打撲となり。
それでも致命傷を負わずに済んだのは、これが奇跡だからでは、無い。

これが爆砕の前触れでしか無いからだ。

ようやく思い返せば、この中で純粋な人間種族は自分一人だけだったと気付く。
誰よりも、誰よりも、壊れやすい脆弱な肉体だったのだと。
今更ながら三人の表情に行き当たる、納得がようやくいく。
だけどね。

風が凪ぐ。
たった一瞬、静まりかえる。

それが、この空間を破壊しつくす爆砕の、本当の合図。

何もかもを失いかねない須臾。
見開いた瞳が反射するのは、剣を抜いた闘士の姿。
その溢れんばかりの怒りにも似た闘気に、鍛え上げられた四肢が型を取る実務的な美しさに、息が詰まる。

セイリオス。
私、それでもやっぱりあの時の問いが、忘れられないの。
同時に、それを成した瞬間、あなたはあなたではなくなる、それが嫌で仕方ない。

だから、あの問いに永遠に焦がれながら、その日が来ないことを痛切に望まずにはいられないんだ。


「――封空剣ッ!!」


策は、失敗する。
大結界内の何もかもを破壊しつくすと思われた第二陣、本格的な爆砕は、起こらなかった。
闘士の切り裂いた無の空間が赤ん坊の口のようにぱっくりと開いて、何もかもが飲み込まれる。
欠けた世界も、埋めようとする力も、反動によるたわみも。
当主の成した策の全てが。
後には風だけしか残らないで。

飛び込んだ勢いそのままに、身を守ることも忘れて見続けた当主の身体に手を伸ばす。
決着を、つけられるのかもしれない。
何もかもを受け入れるつもりで闘士を見詰め返した当主だった、が。
それじゃ約束果たせねぇだろ、と。
「っ、!!」
右耳をかすめた吐息に肩がはねる。
トラウマからくる予想外の弱点をつかれ硬直した隙を逃さず、闘士の腕が腰に回され、目にも留まらぬ速さでその場から離脱した。

抱えられたまま、とん、と軽い振動を感じる。
地面に降り立ったらしいが、浮遊感の抜けない当主に現実味は無い。
知覚の羽虫を起動させると、向こうでは今まさに娘と剣士がセットとなって地面に投げ出されていた。
喉の奥に血が詰まっていたのか、強く咽こむ。
口を片手で覆いながらも、もう片手は闘士に回されて。
「ン、ッ・・・、セ、イ」
抱きしめる、確かに心臓が脈打つ熱い身体を。
力の入らない手が、そう、『蔓草から何かを取り出した左腕』が。
「セイ、リオス・・・セイ、セイ・・・!」

闘士の首筋に、冷たいものが、当たった。

「セイ・・・・・これがナイフだったら、どうするんです、かぁ・・・!!」
長斧はひび割れ、氷雪は塵に埋もれ、フォルツァは東征の元にあり、QoLは遠く離れた地に突き刺さって。
武器と呼べる何もかもを失い、それでも数多の刃を仕込んできた、当主が。
この大陸に降り立ってから愛用し続けてきた、一本の煙管。
その金具。


「セイ、セイ、セイ・・・!」
堰を切ったように泣き出す。
からん、と煙管が地面に落ちる。
失血に加えて、予測の範疇を超えた絶大なる恐怖に晒され、自分の身を支える事も叶わなくなり。
結果だけを見れば、最後に首を取る方法が残された。
しかし、ここまでの接近を想定しなかった当主に、最早勝つための策は無い。
空間爆砕を封じ込まれるとは欠片も思わなかった。
何もかもを賭けて成した策が通用しなかった、今。

「・・・ッ、う、うううぅ、うあああああ」

仕合に勝ったかもしれなくとも勝負に負けた事実を、痛感させた。

■【双天】:リュク

氷も水も蔓も風も裂いて、真っ直ぐに彼女に向けた視線の先。
そこに浮かぶ表情は、思っていたよりもずっと――儚かった。

娘の手から滑り落ち、ゆっくりと落下する槍、
振り下ろされる剣を目の前に、そっと落ちる、瞳。

その紅色が隠れてしまうのがなによりも嫌で、

「……――ッ!」

落下する槍を蹴り上げると同時、片手に娘の身体を虎の上から奪い去る。
吹き荒れる天の嵐の余波、一際強い風が大地を捲り上げ、
二人分の身体が中空へと放り出された。

――あぁ、コレ、

一瞬だけ目を閉じる、
上も下も無い、天も地もない、
由として悠として、宙に浮く一瞬の感覚。

「言っただろ、……君の相手は俺だ、逸らすな」

力なく抱かれたままの娘の身体を、片腕で胸に強く抱きこみ、耳元に告げる。
視界に移りこむのは血と髪の赤色ばっかり、片割れに置き去られ、護れなかった嘆きで、一番綺麗な赤色を閉じたままなんて、全く、失礼だ。

「見失うな」

力強く、云う。

「千歳には千歳の為したいことがあった。勿論、それは俺だって、セイリオスだって同じだ」

風にぶん投げられた放物線が頂点に至り、自由落下が始まる。
片手に剣を、片手に花を。

「君の為したかったことは何だ?」

新しく思いついた遊びを試そうとした子供、
強い奴と戦いたいだけの馬鹿、
自分ごと全部を壊してみたかった男、
――なにもかもを護りたかった、娘。

「示せ、紅、梅花。俺に見せてみろ、……大丈夫」

彩りに満ちたはじまりならば、おしまいはきっとその倍の色彩に満ちている。
明るく、聡明な、優しい娘。
嘆くな、笑え、

「迷いなく護ることを選べる君は、実のところ俺たちの誰より強いのさ」

娘の片手を取り、抱き込んでいた身を離す。

ぶんと手を振れば、中空を落下しながら、本当に踊ってるみたいに二人の身体がくるりと一度廻って、
手を離せばあっという間に逆方向に放り出される。

さっき蹴り上げた娘の槍が、一緒に目の前に落ちてくるのを掴み、娘に向かって一直線に放り投げた。
同時に真下に向かって剣を一振り、剣圧によって落下の威力を殺し、地に降り立つ。

「らうんどすりー、ふぁいっ?」

透明な刃が弧を描き、口元は笑んだまま。
一度目は躱され、二度目は無視された剣を振るう、
互いに傷だらけで三度目の正直、俺は君の槍と打ち合ってみたいわけだ。

■【双天】:セイ

ディストレーション。

空間を割き、それによる閉じる為の反動を以って飲み込ませる技。
己の会得した技の中で、成功率が高くない上に使いどころが難しく、滅多に披露した試しがなかった。

だったのだが。

「何がどこで役に立つものか、わからねぇなァ」

当主を抱えたまま、何も無くなった空を見上げる。

『ン、ッ・・・、セ、イ』

「お、気ぃついたか」

抱きしめられて。同時に、

首筋に冷たいものが当てられる。

『セイ・・・・・これがナイフだったら、どうするんです、かぁ・・・!!』

当てられたそれが刃の類でない事は分かっている。
だが彼が聞いたのはそんな答えの為ではないだろう。

「―千歳」

『セイ、セイ、セイ・・・!』

当てられていた煙管が落ち、嗚咽が漏れ始める。

「…千歳」

抱えたままのその背を、ゆっくりと撫でる。

「お前はすげぇ策士だよ。でも、お前が仮に今刃を持ってたとしてもきっとお前は使わない」

言い切る。

「お前はそんな策を勝つ為に使わない」

重ねて。

「そんなつまらねぇ一手が無くても相手を詰めるだろ、お前なら。
 …今回は、偶々力押しで俺が破っただけだ」

実際、封空剣を使えなければやられていた。
だから、

「それでもお前がその一手を使ってでも首をとらなきゃいけねぇのなら」

已む無くそうする必要に迫られるのであれば



「……そん時ゃ、俺の首は大人しく刎ねられるだけだろうよ」



だから泣くな、とぽんぽん背中を優しく叩いた。

■【双花】:梅

風に吹き飛ばされ、くると回る二人の体。
その手が離れた瞬間に引き離され弾き飛ばされた。

『言っただろ、……君の相手は俺だ、逸らすな』

力なく放物線を描き落下してゆきながら、耳元で囁かれた言葉を反芻する。

『見失うな』

(・・・・。)

『君の為したかったことは何だ?』

(私は、ただ…)

瞳を開くと青く広がる空が見えた。どこまでもどこまでも、高く高く。

地表に激突する寸前で咄嗟に体を捻って、腕と膝で地を滑る様に無様に着地した。

叩き付けられるのを防いでも手足に走る衝撃と双天嵐のダメージ。
四つんばいのまま吐く息は荒く、赤い雫が頬を伝い地面に幾つもの紅班が浮かんでいく。

激しく胸を上下させながら視界を巡らせば、遠くに千歳さんとセイさんの姿が見えた。

「これは…後でキツクお叱りの時間なのです…」

安堵と共に深い吐息と勝手に死地に飛び込んだパートナーへの恨み節が漏れた。

そんな私の前に槍が突き立った。

『らうんどすりー、ふぁいっ?』

前を見やるとリュクさんが、いつもの笑顔を浮かべている。

その姿を呆けて見ていたら何だか無性に可笑しくなってきました。

「…ふふ…ふふふっ…あははははっ」

無理矢理結界に飛び込んだから私より傷だらけなのに。
変わらないのですね。本当に。

いつもいつでも温かい太陽の貴方。

ゆっくり立ち上がり、右手で槍を引き抜くと左手の甲で頬をグッと拭う。

「リュクさん、ごめんなさい、私、何にも示せないですっ」

頬に広がる赤い色もそのままに、満面の笑みを浮かべた。

「私には為したい事なんて何一つないのですものっ」

私が持つ全ての魔力を雷に変えて槍に注ぎ込んでいく。
ただ早く速く疾くこの槍を打ち込むためだけに。

結界論理の補助は既になし。

全てを捧げた本当に最後の一撃。
当てれば私の勝ち、外せばリュクさんの勝ち。

でもそんな事はどうだっていいんです。

私はただ、大好きな人達との何気ない、でもキラキラ光る毎日を積み重ねてゆきたいだけだから。

いつまでもいつまでも。

やがて充填が飽和状態に達した槍から白いオーラが立ち上る。
あたかも一対の白い羽の様に。

「私と、貴方を想った私の友達の事を、貴方が忘れない様に全力でっ、ふふっ」

最後の最後。娘は柔らかく微笑むと大地を蹴った。

「行きます!」

神速の突きの一閃が真っ直ぐに真っ直ぐに羽ばたいた。

■【双花 千歳side/終幕】花々 前

この人の腕を介して流れ込んでくる晴れ渡った日の風。

声を上げて子供のように泣くなんて、どれくらいぶりだろう。
ない交ぜになった感情から大多数を占めるヒトツを抜き出すとしたら、当主にとってそれは生まれて初めて感じた『悔しい』という気持ちだった。

幼い頃から旅暮らしだったとは言え、確かな才に恵まれ。
命を賭して得たとは言え、有能な従者に恵まれ。
争いと呼べるものは避けて生きてきた、この大陸に降り立って初めて食べるため以外に闘う事があるのだと知った。
コロッセウムという制限の中では勝てる方が珍しいくらいだったが、その外にあって尽くしたものに応えてくれたのは、自分という成長途中の幹だった。

何度も勝って、何度も負けた。
それに充足と同じくらいの、達観にも似た穏やかな気持ちを抱いていた。

初めて。
適わない事がこれほど悔しいだなんて、知らなかった。

「せ・・・い・・」
ぐしゃぐしゃになった顔を手の甲で拭う。
「私は、わたくし、は」
落ち着かせるように背を叩かれる。
出会った時のこの人はエッジのように鋭く、筋が通ったまっすぐな思考、視線が怖いように思えた。
すぐにそうじゃないと判った・・・思っていた以上に、ずっと優しい人なのだと知った。
この戦いばかりを求めた無骨な手が、ただ愛しいばかり唯一の黄金の薔薇を手折ることを、守ることを。
そして感情の奔流を止めるために誰かの背を撫でる事があるのだと。

『・・・・・・そん時ゃ、俺の首は大人しく刎ねられるだけだろうよ』

「強く、なります」
首を討ち取るために闘うわけではないのだと。
あの日、あの場で言い切ったあなたに、酷いことを言わせてしまった。
夏山家の当主として、そういった闘い方しか知らなかった、世界が開けた。
誇りを胸に闘う歓びを教えてくれた、そんなあなたに。
もう二度と、言わせやしない、負わせやしない、だから。
「千歳は、あなたの壁で居続けます。
だからあなたも」

だから笑顔を向けよう。

「『次』は、私があなたに申し込みます・・・もう一度、闘いましょうって」
この身の未来を思えば、叶う筈が無い約束を。
それでもいつかきっと果たせるものだと、強く信じて。

何故、蓄えた生命力を使い果たして尚、こうして笑っていられるのか。
それは蒼穹の鮮やかな剣劇が、二人立ち向かった紅が、支えてくれる蒼空が。
その強く激しく切ない意思を分け与えてくれたから。

あなた達に『活』かされた、この時間がとても幸せでした。

「また踊りましょう、何度でも、何度でも」
いつの間にか、顔面に靴跡をつけた虎が不機嫌そうに現出する。
その口が銜えているのは、砂埃に塗れて尚、輝きを失わない氷雪の刃。
「だから・・・その時まで、これを、預・・・・かって・・・」

虎が二人の前に、恭しく剣を置いたのと同時。
当主が天狼の腕の中で意識を失う。

一陣の風が、その頬を撫でたような、気がした。

■【観戦】もう時間も無いのでやりたかった事をさせて頂きます(どーん):C

皮膚をビリビリと突くような力の流れが、止んだ。

「…っ!」

指が緩むと同時、傍らの狐を置いて、走る。
彼等の世界と此岸を隔てる結界は、もう無い。
無い、けれど。

敢えて此方を向かなければ気付かれないであろう位置で、足は自然と止まった。

その場で大地に両の掌を付き、目を閉じる。
静かに呼吸する。祈る。
と、その手の下。
淡緑色の光が「芽吹いた」

光の棘持つ蔓が地を撫でれば、砂が地面の傷を埋め、
微か根付いていた名も無き草が背筋を伸ばす。
そしてそれは、接地面から這うように、戦い終えた者の傷口へ。

その様は少し遠く…そう、元居た場所から見れば、
荊が眠る城を覆うが如く。

対象に触れ、自らに下ろした奇跡を分ける普段の治療とは違うが、
これもまた確かに、ずっと持っていた力。
周辺一帯、無差別に全て癒すそれを「大味」と切り捨て嫌ってきた兎だが、

(まあ、良く解らないけれど無害な怪現象よりも、眼前の戦友とのひと時を優先して下さいな?)

ひょいと肩を竦め、笑いながら踵を返す。
幸い今日は、特に体力を使うような事はしていない。
この程度の消耗なら、自分の足で帰れるだろう。

■【双天 リュクシースside/終幕】

望んだ朗らかな笑い声、真っ直ぐに俺を見るあかいろ。
正真正銘、全身全霊で。
向けられた雷槍に、眦を撓ませる。

「私と、貴方を想った私の友達の事を、貴方が忘れない様に全力でっ、ふふっ」
「――十分だぜ」

何も示せない、なんて云ったくせに、望んだ以上の言葉で腕で、ひとの胸を打っていく。

忘れないさ、なにひとつ。
俺がどれだけこの世界を愛していたか、
知らない君ではないだろうから。

「行きます!」
「っしゃあ!!」

声が重なり、刃の透明と穂先の純白が交錯する。
二つがぶつかり合った瞬間、

高く高く澄んだ音が響いた。

剣を弾き飛ばされる事こそなかったが、折れた片腕で受けきれる代物ではなく、刃先の重なる一点を基、白い衝撃を全身に浴びる。
それが去った時、この身体は前のめりにぶっ倒れて娘の足元に伸びていた。

喉を開くと、軽く咳き込んでるような、笑ってるような、なんとも不思議な音が出る。

「っあー………」

伏せた瞼で、大地に頬を擦り付けて。
胸を満たす穏やかな情に咽ぶ。

勝ちも負けもない、やっぱり俺達はこうやって、
戦って、労り合って、笑い合って、生きていく。

軽く彷徨い上げた視線が娘とかち合ったなら、互いに笑って。
相棒にノックダウン叱られるのかな怖いわー、と思いながら、ほとり、静かに瞼を落とした。

■【双花 千歳side/終幕】花々 後

それは仕合が終わって、緑成すその地に日常が戻った頃。
平たく言えば、タックカイオ国立病院の一室。

「せ、セイリオス、助けてぇ・・・!」
「諦めろ」
「リュクシースあなたなら!」
「いやあれは弁護のしようが無いわー」
「メイ・ホア!落ち着いて!!」
「お叱りの時間ですよ?」
「カナ・・・いや、その顔はやめましょうよ!」
「うふふふふふふ千歳ったら冗談がお上手ですわね」
「宵宮殿・・・は既に居ないですってどういうことなの」

「病院ではお静かに!!!!!!!!」

いい年をした大人ばかりが寄り集って、ぎゃーぎゃーと騒ぎ立てる一時を沈めたのは。
どんな武将よりもモンスターよりも恐ろしい、看護婦さんの一声。
慌てて口元に手を当てて、それから小さな笑い声が起こった。

結局、決着直後の兎の淑女の応急手当が、彼ら四人に深い傷を残さずに済ませた。
一番ダメージが大きいと思われた長身の青年でさえ。
こうなることを見越して予め病院に送っておいた『夏山千歳の血液』によって、輸血と治癒による驚異的な回復を見せていた。

あれは怖かった、あれは凄かった、見損ねたなぁ、いやでもそうだね。
半身を起こし枕に身を預けたまま、そんな掛け合いを静かに見守っていた青年が、ふと口を挟む。
「でもね」
一斉に此方を向く顔。
「私は、リュクシースがお相手でも、梅のお嬢さんがお相手でも、あれをしましたよ。
誰であっても受け止めてくださると信じておりました」
にっこりと笑う。
はたかれた。

そうしている内に病室に静かな沈黙が訪れて、一堂、言葉も無く日が沈む空を見上げる。
この大陸が神の加護から解き放たれるまで、あと何日あるのだろう。
虚無にも近い焦燥が、胸を駆け巡った。

「ちーた様」
いつの間にかベッドを抜け出して窓際に座っていた剣士に手を招く。
近づいた剣士の目の前で、青年の手の内に緑色の炎が灯った。
それは熱を持たない炎。
それは実体を持たない炎。
しかしてそれは、青年の手の内にあった青い石・・・ヘキサ=マリスの形を変えてゆく。
片手に収まる程だった石が、次第に小指の爪よりも小さくなっていき。
最終的に、その手に煌めいたのは。

「嫉妬の炎を具現化して焼きました。
殆どは宮に持っていかれちゃいましたけどね。
まぁ今更、ピアス穴のヒトツやふたつ増えたって変わらないでしょうから受け取ってください。
多分、100年も持たないと思いますし」

本来的には金具に当たる部分まで鉱石で練成された、片耳のピアス。
有無を言わさず剣士の手に握らせた。

次に、四人の中では軽傷が最も多かった娘に差し出したのは。
「これまで私が出会った多くの方々から分けていただいた羽根です。
旅人であり続けたあなたにこそ持っていて欲しい。
だから預かっていてください」
青年が常日頃から身に着けていた、極彩色の羽根による髪飾り。
娘の白い手を覆うように、半ば強引な程に強く受け取らせる。
そうして、ぽふんとベッドに身を沈ませた。

「疲れましたねぇ」
日暮が鳴く。
梨の香が風にのって漂う。
そんな錯覚を覚えた、そんな錯覚を覚えるほど、心地よい空間だった。

此処はとても快い。
できればずっと遊んでいたかったけれど。
「でも、まだまだやることがありますものね。
頑張らなきゃね」
目を瞑って笑う。
沢山の人がいる、この空間が心地よい。
枯渇した生命力を少しずつ、少しずつ分けられているのが、解る。
草花から無慈悲に奪うのではなくて、誰かと誰かが手を繋いで染み渡るもの。

なんて美しい花が、ここにはあるのだろう。
青い、蒼い、紅い、赤い、黒い、そしてまだ見ぬ沢山の観客の。
今は少しだけ眠ろう。
目が覚めたら、何時も通りの日常を送ろう。
最後の瞬間まで駆け抜け続けよう。

だから。

そうして明日が来る。
青年の変わらぬ一日が、始まる。

■【双天 セイリオスside/終幕】

病室でのやり取りが一段落を向かえ。
ベッドにふんぞり返りながら天井を眺め、あの時を思い出す。



――。

「『次』は、私があなたに申し込みます・・・もう一度、闘いましょうって」

ゆるりと紡ぐその言葉に込められた想い、それ感じれば笑みを浮かべて。

「…ああ。
 本気で来るなら誰の勝負でも受けて立つ。それが、『天狼』を預かる俺の在り方だ」

だから、

「―…何時でも来い。その壁を乗り越え続ける為に、俺も前に進もう」

そう告げて、大きく頷いた。

そしてその時まで、と置かれた剣を拾う。
意思を以って渡されたのはこれで、二振り目。

気を失った当主を抱えたまま、目を向ければ相棒は見事に伸びていた。
耳だけに届く音を思えば、まぁ派手にやったのだろうと思う。

「強かったな」

瞼を落とした相棒へ、そう笑いかけながら。
さて病院だな、と梅花さんにも声をかければその場を後にする。




―――……。

開けられた窓から吹き込む風が心地良い。
後僅かな此処での日常を過ごして。

その後は。

「…変わらねぇさ。何も」

並び立つ。抜き去る。また抜かれる。そうやって、
多分俺達は、生きていく。

和らいだ日差しと熱を持たなくなった風が、夏の終わりを告げていた。




ED Kalafina
『sprinter』
posted by 夏山千歳 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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