2012年01月03日

雪の薫りがした




..
■眠れる森の魔法も解けて@千歳

「なんかハードル上げられている気しかしない・・・おのれりっきーさん・・・でも大好きだ・・・」

さて此処に繁雑の合間を抜け出してきた一人の青年が居る。
赤茶のロングタキシードもさることながら、高すぎる背丈がいやに目立つ。
その上、無駄にノリの良い性格のため、気がついたらなんやかんやと表舞台に居る事も多い、そういった人物だった。
もっと静かに生きたいです、と思いつつ。

初めて永寿の地に踏み入れ、すぐ翌年のお正月。
ちょっとした騒動(通称、わんこ捕獲大作戦)から親しくなった人が居た。
一年に一度、永寿に戻ると、時に関所で時にひっそりと、しかし必ず笑顔でおかえりなさいと出迎えてくれる人だった。

少しの寂しさと、今頃、厨房では子供のようにはしゃいでいるんだなぁという相反する感慨を胸に、会場を歩き回る。
視線の先にはバーカウンターと。

「ご機嫌麗しゅう、お二方」
歓談する医師殿と、蜥蜴紳士こと今回は赤毛紳士に笑いかける。
「色男の集いですか」
悪戯っぽく笑って席に軽く腰掛けた。
遠目からしてみれば赤、銀、緑と豊かな組み合わせかもしれない。
「Jack Black!カクテルは頼めますか?」
喋り通しの喉はすっかりカラカラ、ここは景気付けにも一杯いただきたいところ。
カウンターに肘を突いて、つ、と見上げる。
「宜しければね、Sleeping Beautyを作っていただきたいのですけれど」

■ショットグラスをそっと傾ける:Joker

バーテンに扮したアカリに酒を出してもらう
その姿を、そして出てきたグラスを見てニヤリと笑った

「ありがとさんw
悪いが次に出してもらう時はそのグラス(ロックグラスを指差し)で頼むわ」

そして葉巻を深々と吸い、吐き出した後にグラスを傾ける
口に流し込んだ後、鼻に抜ける香りを楽しみながら飲みこむ

「出してもうだけじゃ悪いからアカリも何か飲むかい?」

「色男の集いですか」
その声の主を見ずにフっと笑う

「どの面下げて人を色男ってか?」

そういうのは俺の柄じゃない、とばかりに一抜けたという風に両手を上げる
そして飲み物を頼む彼に

「お前はハイ・ライフでも飲んどけ、充実してんだろ?」

と皮肉ってみた

■バーテン風情にて:Jack Black

まあスタンさんには俺の正体もバレバレなわけだが。
そしてやはりロックの方が良かったらしい。

一杯を誘われたので、
俺はその25年をシングルで貰いながら、
スタンさんのグラスが空く頃合いに、丸い氷でロックを用意。

「まあつまるところ、俺自身がストレートで呑むのが好きなんだよなあ。
 早々にバーテン失格だな!」

笑いながら言って、
次いでやってきた千歳クンには
リクエスト通りのスリーピング・ビューティー。

「ああ、ハイ・ライフも呑みやすいよな。
 ウォッカとパインジュースの組み合わせが好みなら、
 次はそっちを作ろうか?」

■眠れる森の幸いな日々!:千歳@spade of Lilium

「どの面下げて人を色男ってか?」
「皆様、お顔立ちではなく雰囲気で酔われるのですよ」
まっとうな意志を持って口説ける程、肝が据わってもいないのだけれど。
青年は何故か毎年、こうからかわれ続けてきた。
多分、お家芸みたいなものなのだろうと解釈し、笑みをもって軽く流す。
なんとなくこの反応がいけないような気がしないでもない予感がした。

医師殿の差し出したカクテルを、感謝を告げて受け取る。
淵に口付けてから、く、と傾けた。
と、同時に、かけられた楽しげな言葉。
「あらまぁ」
ひどい人ねぇ、と滲ませた笑みは、しかし逆に楽しげだ。
「茨の城の内側は、案外、ロマンチックとは程遠いものですよ」

何せ中庭には虎、温泉にはイルカ。
家主と友人からの預かり子である娘さんは揃って大喰らい。
反対に静か過ぎるほど静かな息子さんと一番下の娘さん。
機械人形は朝から晩まで元気いっぱいだし、たまにやってくる家主の主人は城の地下室で爆発を起こす。

つい思い出し笑いをしてしまい、怪訝そうに見られた。
誤魔化すように、もう一口。
「そうですね、今年はダンスの方をセーブしてますから・・・呑みやすいのでしたら、もう一杯いただけます?」

と。
会場中に散らばった羽虫の一匹を通して知る、回廊の春告草の香り。
目を瞑り、静かな笑みを浮かべる。


大丈夫、彼女となら、必ず会えるから。


「・・・ふふ、そうね、充実した日々、です」
あなたには負けますけれど、と親しみを込めた小さな棘を返して。
「そう言えばアカリ殿は、黒衣の紳士、でしたっけ」
以前もぽつりと呟かれた、実行委員の不思議な二つ名。
自分もそれに加担する者だが、他の人の名づけ由来を詳しく知るわけでもない。
だから青年は密かに由来を聞いてまわろうなんて企んでいた。

「Jack Black、もし宜しければですけれど、由来を教えてくださいます?」
もう一口。
「うん、美味しい」
小首を傾げて微笑んだ。

■イカンイカン:Joker

アカリが気を利かせてロックにしてくれる
しかし、俺も生のウィスキーが好きなんだよな;
知り合ったとはいえ、話すようになったのはごく最近なんだったっけねぇ
まだまだ付き合いの浅さを痛感してみる、そして相手を傷つけないように言葉を選ぶ

「ローズバンクはロックで楽しむのもいいよな、溶けた氷の分だけ甘くなる
酒ってのはまるで相手に甘えるかの如くその表情を変えてくれるよなw」


その変化は女よりも分かりやすい
そしてアカリもグラスを取った事だし、改めて乾杯をする

「皆様、お顔立ちではなく雰囲気で酔われるのですよ」
フム、そういう雰囲気でも垂れ流しちゃってるように見えるのか
どうせだったら元の姿で色男って言われてみてぇなぁ〜;
一口啜る

そして葉巻を吹かしていると、あなたには負けますけれど、という反撃を受け思わずむせる

「まぁ確かに俺に勝てる程幸せなヤツってそうザラにゃ〜居ねぇよなw」

「しかし、充実してるつっても意外とそこらに転がってるモンだぜ?」

千歳に言う
俺には大きいものは必要ない、小さいものをコツコツと拾い集めた結果がこれだからな
仕事、休日にも充実を見つける、充実さえしてれば後から色んなモンが付いてくるからだ
まぁ今は生きてこうやってる事くらいがいいねぇ〜

杯を上げ、千歳とも乾杯する

■相も変わらずカウンターの中で:灯@BJモード

千歳クンのご所望で、ハイ・ライフを作る。
ショートカクテルだが、少しウォッカを弱めに。

作っている最中に今回の二つ名の由来を訊かれたが、

「うーん、大した意味も無いんだが…」

少し考え、

「根っから堕天の俺は Joe Black の遠縁でもあるから、かな」

と言ってはみたものの、なんともいい加減だなあと我ながら思う。
まあ黒は俺の翼の色、そして堕天の象徴でもあるしな。

珍しく自分を振り返ったりしつつ、
スタンさんが上げたグラスに俺も乾杯、残った酒を乾して、

「そうだなあ。
 最初から甘えて来られるより、徐々に見せてくれるほうがいいね」

言いながら笑った。

空のショットグラスを見越したのか、
どこからか現れたANさんが
My master! とか言いながら俺にくれた、フローズンカクテル。

「うん?」

口元に持っていくまでもなく、香る林檎の爽やかさ。

ああ、少し前、俺の胃痛を溢した時に、
林檎は胃に良いからと言っていたアレか。

「ANさんのmasterじゃあないが、ありがとな。愛してますよ俺も」

言って唇にグラスを触れた途端、
テンションアップしそうなスピリッツの気配。
これじゃあ胃に良いどころかANさん!

と振り返ると、するすると人波を抜けた先で
思いっきり前のめりになっていた。

…頑張れ!!

■目覚めて尚みる夢の中@千歳

「しかし、充実してるつっても意外とそこらに転がってるモンだぜ?」
赤毛紳士の言葉は何時でも深く、しかし重過ぎない。そのバランスは小気味良かった。

日常に充実を。

「願っても止まないことですね、それは」
かつて何度、どれだけ欲しただろう、ただ、そこにあるだけの日常。
一度目は、この大陸に来る以前。
遠い異国を彷徨い続けていた。
二度目は、この大陸に来てから。
優しい日々の中でヒトツの感情を覚えた。
憧憬と共に笑みを浮かべて、残り少なくなった一杯目で小さな乾杯を。

次いで差し出される二杯目。
アルコールの香は弱い。
「ありがとう」
さして強くない自分への配慮に、しみじみとした喜びが浮かんだ。

一口目は感触を味わう。
唇に触れる淡雪、その中に隠された酸味はギャップのせいか、より刺激的に感じる。

その合間に明かされた小さな由来。
「確かにね。
千歳も、誕生色がホワイトリリーだからって理由しかありませんし」
そんなものなのでしょうねぇ、なんて笑いあう。
好奇心という箱の中には沢山の玩具が転がっていて、しかしその玩具をどう扱うかなど強制されてやいない。
だから些細な理由にも楽しみを見出せる。

二口目。
感謝の気持ちの表れになるかな、と思いつつ。
勢い良く飲みきり、グラスをカウンターに置いた。

二人のやり取りを横目に、改めて皆様、多才だなぁとしみじみ感じ入る。
数年前のりっきーさんのオリジナルカクテル『chee』を皮切りに。
ユキ嬢の寒気と歓喜の一品、『りらくすぺしゃる』。
さりげない気遣いに溢れたアカリ殿の鮮やかな手腕に、スタン殿のお酒への深い造詣。
千歳もそういった才と知があれば良かったのだけれど、なんて思いながら。
カクテルと云えば。

「二杯目にこちらはいかが」

軽快な声に足取りに、お盆片手に現れたのは偽りの聖職者。
何度も噂ばかりを聞いた、カクテルといえば、この人だと。
「『Wake up,Sleeping Beauty』とでも緑の茨姫」
「ありがとう、うそっこ騎士様」
興には興を、戯れには戯れで。

受け取り、唇に含む。
それは雪に沈む、目にも鮮やかな青林檎。
瞼を閉じた二口目は、キスをするように、厳かに。
ただそれだけで印象を変える。
「君帰す、ね」


――雪の薫りがした。


「・・・っと」
羽虫が伝える、会いたかった内の一人の姿。
「ごめんなさい、千歳、行かなくちゃ。
ステキなマスター、ご馳走様でした。
内密のミスター、楽しい一時をありがとう」
紳士の礼を取り混ぜて席を立つ。
向かった先には異国の匂いが漂うソファ。
その名を冠する帽子が目立つ。

「こんばんは、hatman殿。
ずっと貴方とお話してみたかった」

鮮やかなグリーンのカクテルを片手に微笑みかける。
林檎の香が、入り混じった。
posted by 夏山千歳 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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