2012年01月02日

2011年 ランダムダンス




..
■目の前には星の輝石@千歳 

初日のペアは、小さく紡がれ続ける糸。

つい先日まで担当していたイベントで、躍進し続けた一人の少女。
全ては気紛れとは言え、一身に綿虫の愛を受け続けた。

揺れる裾に期待と緊張を隠した、少女の背中に声をかける。
「ソノラ嬢」
振り向く。
「ふふ、こんばんは。
初めてのダンスが貴女だなんて、なんだかとっても摩訶不思議ですね」
手の中の番号札を見せて、一礼する。

さぁ、お姫様、貴女を宴の魔法にかけよう。

「そうね、個人としては、二度目ましてかしら。
夏山千歳と申します、お見知りおきを」
実行委員としての百合の剣の顔を外し、落ち着きを崩さぬまま微笑んだ。
手を差し伸べる。

貴女は七色に変化する輝石。
ならば私の深緑も、赤茶も、残り香のようにうつるのかな。
これから貴女を待つのは、色とりどりの縁。
そうして紡いでいった糸を織り上げ、貴女はどんなタペストリーを生むのかな。

見てみたいと思った、新たに生まれた星々の行く末を。
北極星も、天の川も、今はこの会場には居ないけれど。
風が何時しか世界を巡るように、月が何時でも笑って見守るように。

そんな夢想も、全て、星屑と綿虫の導きの末。

「踊りましょう!
きっと素敵な夜になるから」
ここに開始の鐘を告げる。
私は一人の月、目の前には生まれたばかりの星の輝石。

■遊覧船に乗せた夢@千歳
 
ランダムダンスも折り返し地点。
見上げた先には昨年、深く印象に残った名があった。
あの時も三曲目。
そして青年の心を疼かせるのも毎年、三曲目。

目を伏せる。
一年の時の流れは、尊い。

不思議なポーズに願掛けをする面々を、微笑ましく一瞥して。
ずるっこしてゴメンね、と心の中で謝りつつ。
羽虫の導きに従い、かの水色の背中を見つけた。

「イストワール嬢」
興を知るご令嬢には興で返す。
そっと後ろから両肩に手を置く。
「またお会いできましたね。
受付でお名前を拝見した時は、とても嬉しゅうございました」
振り向く顔に笑顔を向けて、恭しくその場に跪いた。

「今年もワルツを共にしていただけますか?」

□@千歳

「マ・・・マドラスぅぅ」
「ぶはッ」

予想外の光景に密かに噴出していた一面はあったものの。
取り繕って気取ってみたが、どうやら成功したらしい。
「はい、千歳ですよ」
・・・真っ赤なまま固まる彼女に不安になりつつも、した、らしい。

気を取り直して。
「もちろんですわ。今年のワルツは素敵な笑顔で踊ります」
「そうね、誰かが落として湖底に眠る珊瑚のように」
両手を取って立ち上がり、その細い背を抱きこんだ。
彼らのワルツは軽妙洒脱。
人々の合間をすり抜けるステップは、風の吹くまま気の向くまま。

道は瞬く星座に聞いて。
君は輝く遊覧船、私は航路を照らす月。

遠くから愛とマドラスを受信しながら。
posted by 夏山千歳 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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