2011年09月16日

旅日記

■長月三日
さて、九月になりましたね
寝覚月や稲熟月と様々な異名を持つ秋の始まりにございますが
夜長月と口にされ続けた季節でもあります

この大陸に来る以前におりました国は、大陸で最も月の美しい国家だと言われておりました
日照時間が極端に短く、いつでも月を間近に感じられました

今は、月が遠い
でも私はこの大陸から眺める月の方がお好き

他の誰でもない夏山千歳が生き続けた
この大陸から見上げる唯一無二の月だから

■長月五日
ひまわりを見ると思い出す
太陽のような少女だった


確かあれはリリデールにいた頃
彼女との出会いは、無料顔絵で運試しの企画でした
蜂蜜色の髪と民族衣装が印象深いワーキャットのお嬢さん
千歳の拙い絵にも、いたく喜んでくださった、優しい子でした

お渡しした後も、ゆるやかな交流が続きましたね
千歳は、まるで妹が出来たような温かさを感じていましたのですよ

交わされた会話の中で、朧げながら今も覚えている
あなたに教えていただいた、ひまわりの花言葉の由来を

■長月六日
いつも病室で過ごしていた、あの人
虚弱な身体は、さんさんと降り注ぐ陽を目一杯に浴びる事も
何処までも続く大地を存分に走り回る事も許さなかった

その人に恋をしていた子は一輪の花を手渡しました
それは病室の外に広がる、ひまわりの花

程なくして世を去ったその人は、ひまわりを渡した子にヒトツのメッセージを残しました
太陽が昇る度に私は蘇る
おひさまのような君への恋を、私は捧げよう

あなただけを見つめる、と

■長月十二日
(癖の無い丁寧な字で書かれていた

ねむねむの病のため、久方ぶりの日記になってしまいましたね

本日は十五夜、中秋の名月にございます

本来、十五夜とは旧暦の葉月十五日に当たるものであり
必ずしも満月を指すものではなかったそうです

今年は六年ぶりの満月と重なったようで
暮れなずむ空に、くっきりと丸く淡い色合いの月が拝見できればと、強く願います

(硬筆を置いた青年は

(口の中だけで、こがねさす、と呟いた
posted by 夏山千歳 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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