2011年07月15日

以下、異大陸とNPCが主役の物語となります
ご注意くださいませ

イド消滅RPより転載 2005年4月15日筆


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□夢:イド イェリルル・ドレニア 2005/04/14 23:05:19

ただ、しんと静まり返った茶屋で。
白い羽を持つ仔は夢を見ていた。
気がつけば引き込まれていたその場で。

仔は、ただ、夢を見ていた。



心の奥に深い闇を灯したまま。
白い羽を持つ少年は、その大陸を、その国を、その月を見ている。
快活そうな笑みを浮かべながら、この大陸に想いを徒然と。
どんな事が起こるだろう、誰と出会えるだろう。
心の闇なんか塵とも感じさせぬ希望に満ちた瞳で。

幼い少年は色んな場所に出向き。
人々と接し、そして失い、それでも笑い。
そう過ごしてきた。
本来なら一番最初に興味がわく筈の、自分が所属している国家の事すら忘れ。
ただ、その月を奇麗だな、と思いながら。



少年は束の間、国籍の関係無く交流の出来る湖畔で喫茶店を開いていた。
夏の初めにオープンし、素人ながらそこそこ繁盛し。
そして秋には店を閉めた。
間が悪かったのか、知り合いが次々とこの大陸を去って行ったからである。

そう、あれは3年前の夏の終わり。
残暑がきついと予想された年。

店は閉めたが少年には好奇心と行動力だけが有り余った。
各国をその翼で渡り巡っても満たされる事も無い。
ほんの気まぐれで少年は月の光が降り注ぐ国に顔を出した。
其処は自らが初めて降り立った地。

「初めまして・・・かな?」

そしてあの人と出会った。
愁いを含んだ藍色の瞳の男の人。
深緑の髪は柳の葉のように揺れていた。


□ 浅き夢見し 
月の国では沢山の人と知り得た。
桜色の長い髪を持つ女性とも、其処で。
そして其処を祖国と思えるほどに浸った後。
少年は再度、旅に出た。

厳しい暑さがようやく和らぎ始めた秋の頃。
革命の知らせが舞った。
少年の愛する祖国にて。



「・・・。」

目を開ける。
何時の間にか、ざらりとした触り心地の布に包まれていた。
透ける光は淡く、眠りの妨げにはならないだろう。
そうして気付く。
自らの身体は小さな小鳥と成っていた。
仄かに香るのは桜の匂い。
何故、と一瞬、頭を過ぎる。

だが、一切の頓着を見せずに。
仔はゆっくりと瞼を閉じた。
どうでも良いと言うように。



だが、其処から。
少年の記憶は途絶え。



仔は甘えるように啼く。
袂の中で、ちぃさく。

女性の深層が流れ込むたびに。
其処にあの人の姿を見つけるたびに。
本能的な欲求が泣き叫ぶ。

「あいたい。」

魂に刻まれた名前を探す。
この広い世界で。
自らの身体を呪っても。

嗚呼、自分の存在の意味は。
そのためだな、と。
誰を傷つけようと、自らを傷つけようと。
其れが本当の自ら望むこと。
記憶も感情も永久ではないけれども。
我侭で在れると言うなら、望もう。

「あいたい。」

そう、これが、望む事。


記憶も、感情も、永久ではないけれど。



目を覚ました仔は。
ちちち、と小さく啼いて。
甘えるように啼いて。
花の匂いのする女性の指を甘く咬んでから。
其の茶屋を飛び立った。

一度だけ、名残を惜しむように。
振りかえった。
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posted by 夏山千歳 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 昔話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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