2011年01月21日

禊 壱

■共通諸注意
この物語は千歳本筋RPです
本筋RPは全体の流れとして非人道的(具体的には近親間の婚姻、カニバリズム等)な描写、設定が含まれる場合があります(アップする際に冒頭注意として上げていきます)
背後様が在学中の方はご遠慮願います
性描写はありません
道徳の分別、現実と創作の区別のつく方、上記の非人道的描写をエンターテイメントと割り切れる方のみ、御覧になってください

尚、作品中のゲストキャラクター様には、既に確認と了解を得てアップしている事を明記しておきます


千歳本筋RPオープニング


..
澄んだ冬の空にいざよいが笑う。
彼はずっと見ていた、彼は何も想ってやいなかった、彼はただそこにあるだけだった。
しかし見上げる人々は、その姿に一縷の望みを託し続けた。

彼は光だ。



冬の風は容赦を知らない。
ただあるがままに吹き荒び、何もかもを凍らせる。
そこに分け隔ては無い。
白い襦袢のみを見につけた青年も、また。

そこは三年ぶりの場所だった。
かつて押し殺した感情に耐え切れず、この場で禊を行ったことがあった。
自傷行為と何ら変わらないように見えただろう。
しかし、それは青年にとって大きな意味と意義のある事だった。
青年は誇りを知った。

「東征将」
歩き出す。
枯れ草を踏む素足は既に氷のように張り詰めていた。
しかし一歩、一歩、恐れながら歩みを止めない。
「まずは貴方が駆けます」
湖面は何処までも黒く、点々とした白を映し出す。
さざなみはそれらを殺す。
足を差し出した。

痛覚を飛び越えて、いっそ温かみを感じた。
本能が泣き叫ぶ。
やめてやめてやめてやめてやめて。
理性がなだめた。
ゆるしてあげない。

「業の右兵、私を示しなさい」
踝から膝へ、腿から腰へ。
かつてとは違い、堂々とした様で青年は歩み続ける。
「業の左兵、私を護りなさい」
青年は誇りを得た。
そして今度は覚悟を得ようとしている。
色を落とされた指が、青白く震える手が、湖面に触れた。

かつてあった禊は死への疑似体験だった。
心を殺す事と同意語であり、身体も酷い発熱で果てかけた。
あれから何度、心を殺して生きてきたか。
あれから何度、体を傷つけ生きてきたか。
しかし、まことの死は、あのただ一度きりだった。

文献にあった、幾つもの伝承。
振り返れば全ては水泡に帰す。
醜い屍骸しか残らない。
死者は決して蘇らない。
死界は暗く、冷たく、幸福への黄泉路では無い。
しかし、その場所へ赴く必要があった。
青年の目的を達成する手段は、現世には存在しないと悟ってしまった。
諦めきれず書物にかじりつき、知識に耳を傾け、各地を巡り続けようと。

有りはしないのだ、青年が生きる此世には。
posted by 夏山千歳 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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