2010年01月14日

お茶会 〜のっぽとおはぎとハードボイルド〜

入れ替わり立ち代り彼らのお喋りはダンスのように


..
■はなのよな@千歳

二曲目も終えて、ようやく落ち着いた様子の青年が一人。
「矢張り喜知次さんは素晴らしいのです、ハードボイルドで俺に惚れるなよなのです」
魚料理に舌鼓を打ちつつ、合間に白ワインを含む。

今年はまだ料理を堪能していなかったと思い出し、食べ歩きツアーを開催したのだが如何せん一人であるため寂しさを感じてしまう、らしい。
「るちる嬢をお誘いすべきだったでしょうか・・・」
魚好き仲間を思い出しながらも、会場を見回す。
「りっきーさんは厨房かしら、ちーた様は無意識にタラシちゃってたりするのかしら、兎さんはデザートコーナーに居そうですけれど」
遠くから聞こえる地響きに窓の外を見やる。
「ドワーフさんは無茶していらっしゃらないかしら、そういえば怪獣さんも名簿に名前がありましたねぇ」
グラスを一気にあおる。
さて次はカクテルでも、それともいっそエー酒かしら。
回り始めたアルコールに気分も浮かれながら、カウンターを眺めていると白く濁った小さなビンを見つけた。
「・・・バーテンダーさん、あちらのお酒をくださいな」

毎年、三曲目を迎えると、心臓が小さく踊りだす。

グラスを渡されると、そのまま休憩場に足を運んだ。
清々しい香りが青年の鼻腔をくすぐる。
ソファに身体を沈めて、グラスの淵を小さく舐める。
「美味しい」
厳しい冬を越えて、やがて訪れる温暖な季節に、それは咲く。

俯けば少女が結んでくれたリボンが青年の頬にかかった。
耳を隠す飾りに添えられた薔薇が微かな香りを撒き散らす。
けれどそれは手元の薫りを殺すほど主張をしない、ささやかなものだった。

「そういえば去年は沈丁花・・・でしたね」
いつの間にか出現していた仔竜が、薔薇を啄ばもうと顔を伸ばす。
たしなめるように頭を撫でて、膝の上に乗せなおした。
「駄目ですよ、もう、青も水みたいにお出かけしたいんですか?」
誰かご友人に遭遇したら押し付けちゃおうかしら、不穏に呟きながらサラダを与えた。
酒を含む、唇を濡らす、青年の纏う香りが変わる。

春を告げる清涼の薫りが青年を支配した。

■おはぎとご挨拶と転倒:ルディ

二夜目も無事終わり、さあ次は、と社交場へ足を向ける。
「んん、おはぎ、おはぎ…
やしめがさんは粒餡派でらっしゃいますのよね〜」

おはぎを求めて社交場をさまよっていると、あちらこちらに見知った顔が。
全ての方に一度にご挨拶するのはさすがに無理ですし、と呟いた折、目立って背が高い青年の姿が目に映る。

「まあ、千歳さんv
お久しぶりですn…きゃー!」
たたた、とドレスであることも忘れて駆け寄るが、案の定ドレスの裾に足がからまりつんのめる。
咄嗟に手を出すが、下手をすれば大惨事の恐れが、と慌ててまた手を引っ込めた。
順調に、顔面突撃コースである。

■二度ある事は三度ある@千歳

ちびちびアルコールを楽しんでいると、人波から見知った女性が現れた。
初めての宴のファーストダンスのお相手、天の川のような金髪の天使、おっとりした看護婦。
何よりも個人的ながら女神と崇めて止まない貴婦人だった。

サイドテーブルにグラスを置き、腰を浮かせた所でこちらの存在に気付いたらしい。
顔を綻ばせて駆け出す。
・・・何とは無しに嫌な予感がよぎる。
「あらまぁ、ルディ嬢。
お久しゅ」
「きゃー!」
「わー!?」

慌てて両手を前に出すも、周囲に被害を出してはならないと思ったのか、目を固くつむり手を引っ込める。
優しすぎるのも困ったものかもしれない、なんて。
思う余裕があったのは、あまりのハプニングに頭がついていかなかったからだろうか。
反射的に床を蹴り、勢いを殺せぬまま貴婦人を抱き留めた。
わぷ、と腕の内で小さな悲鳴。
硬い床よりはマシだろうが顔面強打は免れなかった、かもしれない。

なんか今年は、こういう年なのだろうか・・・。

三度目となる突進に奇妙なデ・ジャヴュを感じながら、安堵と密かな役得を噛み締めるのだった。

■三度起こればいつでも起こる:ルディ 

おはぎを持っていなくて良かったですの、とか おでこにたんこぶができてしまうかしら、等と妙にゆっくり流れる時間の中で考え、衝撃を覚悟して硬く目を瞑る。

次の瞬間、ぼふん!と思っていたよりも柔らかい衝撃。
「わぷ!
…・・・あら?」
そっと目を開けると、目の前は茶色一色。

「・・・ ・ ・ ・ ??」
状況が理解できず、ぺた、と美味しそうなショコラ色に触れる。
質の良い布と温かい体の感触。
そろり、と顔を上げると駆け寄ろうとしていた人の、安堵の笑みを浮かべる姿が目に映る。  

「…お久しぶりですの、お元気でらっしゃるようでなによりですの〜」
どこかぼんやりと中断された挨拶をし、そこではたと我に返る。
躓いたのに転んでいない。そして現在千歳さんの腕の中。
つまり…

「受け止めていただいて、ありがとうございますの。
お会いして早々にご迷惑を・・・はぅう」
またやってしまった、と密かに落ち込みつつぺこりと礼をする。

「私はおはぎを探していたのですけれど、千歳さんは何をしてらっしゃいましたの?」
少し離れて顔を見上げ(なにしろ身長差は40cm近い)、首を傾げる。

■次の議題、タダ酒の魔力について:stan

バーカウンターへ行き、棚に並んでいる瓶を物色しながらバーテンを呼んで酒談議を始める
あの酒はネェのか?
この酒は味の割にはカスクが足りねぇんだよな
その瓶まだ残ってんのか、空になったら瓶を俺にくれよ!

そしてこの一杯、ってのを見つけると上機嫌になり、バーカウンターへ腰を下ろし会場内を見やる
その時、千歳が誰かを抱き寄せている現場を目にした

「よう色男、今年は誰を口説いてるんだい?」

茶々を入れながらグラスを掲げて挨拶をする
しかし、相変わらずあの男はでっけぇよな、あの身長を俺にくれねぇかなぁ?

■お茶会 〜のっぽとおはぎとハードボイルド〜 @千歳

腕の内の女性は不思議そうにベストを触る。
それを人体とは知らずに何かを確かめるような無防備な触れ方に、場違いにも少々ときめいてしまったのは致し方あるまい。
きっと男性諸君なら解ってくれるだろう。
微妙な感情を曖昧な笑顔に隠しながら、型の崩れた金髪を撫で付ける。
「お会いして早々にご迷惑を・・・はぅう」
「あははは・・・お怪我も無く幸いにございました」
和やかな応対に場の空気が緩む。
足は痛めておりませんか?はい、おかげさまで。
ちいさなやり取りを交えつつ、ようやく身体を離してひっそり安堵した、正にその時。

「よう色男、今年は誰を口説いてるんだい?」
「ななななにを仰いますか千歳はご婦人を口説くなど生まれてこのかたほんのちょっとしか・・・あれ?」

縮みかけていた後ろめたい部分を、見事に指摘されて振り返ると。
そこには見慣れたような見慣れぬような少女がいた。
「・・・えーと、失礼ながらどちら様で?」
「いやもうオレぁ女に間違えられるのはご免だぞ」
「あ、まさかのスタンリー殿?」
「その間はちょっとアレだと思うぞ」
はい、それ先程も言われました、なんて返せるわけも無く。
「千歳さんは転びそうになった私を助けてくださったのですよ」
隣の貴婦人から助け舟が入る。
「はひ、ですので千歳は決して色男でもタラシでも誑かしでも無いのです」
ふぅんと意味深に呟くも深く追求しない姿勢は、今、この場の青年にとっては美徳に感じられた。
非常に現金である。

「私はおはぎを探していたのですけれど、千歳さんは何をしてらっしゃいましたの?」
「あぁ、おはぎならすぐそこに・・・立ち話も何ですから、お茶でも如何ですか」
見上げる二人の首が辛そうに感じられてソファへ促した。
端にあったL字型に各々、寛ぎの姿勢を見せる。
軽く足を組んで先のグラスに口付ける。
傍らのテーブルには和菓子を始めに点心、魚料理、カナッペ、岩塩と和洋折衷の様々な料理が広げられていた。
青年持参の蓮茶が場に優しい香りを添えた。

「またエライ量だな」
半ば呆れたようにドレスだけど男性な方が呟く。
「よくよく振り返れば、今までの宴において千歳は心行くまで料理を楽しんだ記憶がございませんでした」
「あらまぁ」
「それは明らかに損であり、また料理人の皆様方にも失礼だと心得ております」
「まぁタッパに詰める奴もいっから、無駄にはならんだろうが・・・」
「反省しました千歳は、今年こそは美味しいものを沢山頂きたく思いました次第にございますのです」
「素敵な心がけですわ〜」
「幸せは分け合ってこそ二倍に、不幸せは分かち合ってこそ半分に、なのです」
拳を握って力説である。
「ですので、もし宜しければお二方にもお付き合い願えれば幸いに」
早速、点心をつまみながら微笑む。
「ちょっとうっかりキアイ入れすぎちゃいましたし」
「なぁ、花より団子って言葉は知ってるかい・・・?」

むしろそこは二兎を追うものは一兎も得ずじゃないのか。

周囲に居た人たちは、まさしく一体となって心の底からツッコミを入れた。

■酒と女となんとかと:梅

槍をクロークに預け早足で会場に飛び込んだ。
そこは幕間のダンスホール。変わらず温かい空間にほっとする。

と同時に慌てて左頬に手を当てる。
宴と戦場の往復は流石に重労働。乾き切った喉を潤しにバーカウンターに向かう。

「よう色男、今年は誰を口説いてるんだい?」
先客のスタンさんが何やら上機嫌。
茶々の飛んだ先を見やると・・。

(・・・・・ムカッ)

千歳さんが何方かを抱き寄せてました。

(って、何今の私。別に良いですし、いつもああですしっ(こら)

バーテンさんからシャンパンを受け取ると足早に会場隅に移動する。

■健啖、その前に:ルディ

端のソファーにいざなわれ、ありがたく座って辺りを見るとおはぎは勿論、様々な料理やデザートが所狭しと並んでいる。
ふ、と鼻をくすぐるのはどこか懐かしくも異国の香りを感じさせるお茶。

「…ですので、もし宜しければお二方にもお付き合い願えれば幸いに」
それらを前に力説する千歳さんににこにこと相槌を打ち、お誘いにも快諾をする。
「ええ、勿論ご相伴に預からせていただきますのv
千歳さんのおっしゃる通り、美味しい物は大勢で食べるともっと美味しく感じますものね」
しみじみと頷いていると、スタンさんが微妙にずれた格言を発する。
「なぁ、花より団子って言葉は知ってるかい・・・?」
「んん、お団子は勿論ですけれど、お花も食べられますとより素敵だと思いますの〜v」
それに対してさらにずれた返答をしつつ、のんびりと並べられたお料理を眺める。
「ああ、ですけどこの量では、ちょっと足りないですかも…」

この堕天使、さりげなく大食らいなのである。
なにしろ見習い時代は毎日お腹を空かせていたのだから。
「もう少しお料理を持ってまいりますので、少々失礼いたしますの〜♪」

■幕間@千歳 

「少々失礼いたしますの〜♪」
軽やかな足取りで夜の天使さんが退席する。
どうにもこうにも、見かけだけで人を判断してはいけませんよと母君に諭された幼少の頃を思い出した。
「・・・ですって、これは千歳も負けていられません」
「手段と目的が逆行してないかねぇ」
食べられない、と言いながら席を立たずに付き合ってくれる元・怪獣さん。
つくづく付き合いの良い御仁だとは思うも口に出さず、色とりどりの皿に箸を伸ばす。

器用な箸使いで次々と皿を開けていく。
普段はあまり大きく開けられることの無い青年の口が、ぱっくり飲み込みがっつり齧り付く。
作り手に回ることが多いためか、少々、珍しい光景である。

手元の所作における品の良さとは裏腹の、食べ盛りの子供のような、はたまた居酒屋における粗野な戦士のような。
「うふふ、えびさんぷりぷり」
揚げ物の油で光る唇を舐めて、さぁ、次はどれにしようかと目を光らせる。

「でかくなるコツはやっぱアレかい、よく食って寝て歩くことにあるのか」
青年の納まらない食欲に、元・怪獣さんの呆れたような顔が、また質の違う呆れたものになる。
「・・・んー、突然変異?」
微妙な顔をされた。

そういえば。
夜の天使さんを抱きとめた時に、何やら不穏な視線を感じたような、そうでないような。
何かやらかしましたっけと、今更ながらに辺りを見回せば一人の少女が視界に入った。
「あっ、千寿嬢ー!」
大きく手を振りながら笑いかける。
傍らの保護者に見(?)守られながら、山盛りのお皿をもりもり食している。
ダンスとは、また質の違う堂々とした立ち振る舞いに、ドワーフの少女の成長を感じて微笑ましくなった。

宴も後半へ向けて、夢中で踊っていた人も疲れたのか。
はたまた一旦、パワー充電を図ろうと思ったためか。
会場内でも特に料理テーブルやバーカウンター、ソファの周囲は賑わっている。
これから二度の夜を越えて、きっとまたダンスホールに人々は返り咲くのだろう。
「さて、休憩時間はどうしましょうかねぇ」
蓮茶を口元に寄せて香りを楽しむ、青年の表情は常よりも穏やかだった。

■談話の中での内緒話:stan

酒を口に含み、周りの談議に耳を傾けていた俺は知らず知らず考え事をしていた

顔はニコニコしてるはずだ
内心を読まれないように俺は考え込んでいた
焦る
そう、俺は焦っている

宴は前半と言われるランダムで相手が決まるダンスと後半、誰かを指名して共に有意義な時を過ごすという2種類がある
指名する相手は自分がいいと思ったヤツを指名しねぇと相手に失礼だよなぁ
あいつが着てればそこは問題ネェんだが、急用が出来たとあっちゃ〜仕方ねぇわな
でも
どうすっかなぁ〜?
焦れば焦るだけ顔がニヤけてくる

傍から見ると、今の俺ってどう映ってんのかねぇ;

■現実に帰ってみるテスト:stan

ふと顔を上げるとルディが怪訝な顔をしてる
知らずの内に何か喋ったかな?

いやいや、今はそれどころじゃない
どうすっかな〜


そして会場内を見渡してみると破沙羅が見えた
おや、ようやく来たのか?
随分時間が掛ったねぇ、何かあったのかな?

「失礼、知り合いが参加するみたいなんでね。挨拶してくらぁ」

そう言って、破沙羅へ声をかけようと席を立った
posted by 夏山千歳 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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